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 石垣島トライアスロンに挑戦して体験したこと、思ったことなどを記録として書き(描き)残しました。

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その4「遂にスタート!」


遂にレースの日を迎えた。
スタートは朝早い。8時のスタート。

朝から蒸し暑い気候だけど天気は曇り。
日差しが無いのでこれは随分助かると内心ほっとしながら
トランジションでバイクや着替えの準備をして
スイムコースで試水。

ウエットスーツを着て海に入るのはもちろんこれが
初めてだったけど違和感は感じなかった。
と言うか緊張で違和感を感じることができなかったのかもしれない。

いままで練習してきたフォームを確かめるように
数十メートル泳いだ。
そして「慌てず焦らず」を呪文のように心の中で唱える。

レースはスイムから始まる。
出場者の数が多いのでスタートは「ウェーブスタート」といい
約150名が1組になり1分ごとにスタートを切る。

組みは7組まであった。

申し込み時にスイムの予想タイムを
速い目に申告したからだろう‥‥
ボクはその2組目に入っていた。
.
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スタートを待つ間、まわりを見渡すと
屈強な体をした男達に囲まれていた。

しかも皆やるき満々の顔をしている。

176cmの身長に62kgの体重のボクは
キャシャに見えると人に言われたことがある。
自分ではそこそこ逞しいのでは?
と思ってはいるけど‥‥

でもやっぱり周りの男達の外見と比較したら
見劣りしてるような気もする‥‥
色白だし。

特に背後にいた数人の外国(白人)の
男達はひときわ逞しい。

ここでもやや尻込みしたが、
「他人は関係ない!自分が今まで
やってきたように泳ぎ、こぎ、走ればいいんだ!」
と自分に言い聞かせた。
でもちょっと気になる‥‥

そんなことを考えているうちに1組目がスタート。
目の前にいた黒い人影の固まりはあっという間に
海の中へ白い波を立てて遠ざかって行く。

食い気のたった魚の群れようだ。

次、ボクの組みがスタートラインまで歩み寄る。
強烈な緊張感が身体を固くする。
手首や首を回してリラックスを試みる。

そしてカウントダウンが始まった!

気分は特攻隊の気分だ。
冷静に考えるととんでもないことだが……
.


鈍い汽笛のような音の合図と共に
目の前のスタートラインのロープが上げられた。

とたんにまわりの男達は海に向かって走り出す!
もちろんボクも!

ゲートが開かれた競走馬のようだった。
決定的に違うのは向かう先が海。

緊張は興奮へと変わっていた。
兎に角、闘牛の牛のごとく海中へ突き進んで行く。

叫んだかどうかは記憶に無い。

客観視すると阿呆みたいだが、
当事者としは生きるか死ぬか!?ぐらいの勢いだ。

水しぶきが立つ。
海面が股下ぐらいまでは走ったと思う。
ほんの数メートルだけど‥‥

周りが飛び込み始めたのを見てボクも夢中で海へ飛び込んだ!

つづく

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次へ

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